アパレル販売員・高山のブログ

現役アパレル店員としての体験をマンガにしています。

超かっこいい「私もこれ持ってるんです」の伝え方

 

「アパレルの販売員に言われて嫌な言葉ってある?」


時々周りの友達にこう聞いてみるのですが、
高頻度で聞くのがこんな答え。


「"私も持ってます"ってやつ!
知り合いでもないのに。だからなに?って思っちゃう」


私も販売員ではありますが、つい共感してしまいます。
私自身がお買い物に行った際も、


「これ私持ってます!あのスタッフはピンクを持ってるし、
グリーンを持っている子もいて...」


とひとつひとつ説明され、
「私今日店員さんたちの持ち物検査に来たんだっけ?」
と思ったこともありました。


「私も持ってます」って、お伝えしない方がいいのでしょうか?
どうお伝えすれば、お客様に「これ買いたいな」
と思っていただけるのでしょうか。

 


◆「私も持ってます」が有効な2つのパターン


「私も持ってます」がお客様の心を動かすのには、
2つのパターンがあると考えています。


①お客様が、販売員のファンである場合


②着用の実体験が伝わる場合

 


①はお店ではあまりないパターンかもしれませんが、
世間ではよく見る売れ方かと思います。
極端な例が、芸能人が使用しているものが売れているパターン。


芸能人が着ている服から、文房具やスマホケース、クッションなどの小物、
こういったものがテレビやSNSで紹介された途端飛ぶように売れた、
なんてよく聞きませんか?


こういった物を買うファンの方の心理は、


「芸能人の〇〇さんが使っているところを見たら機能的だと思った」


というよりは、


「芸能人の〇〇さんのことが大好きだからお揃いにしたい」


という方が多いでしょう。


こんな風に売れてくれるなら「私も持ってます」は効果的ですね。


実際に周りのスタッフで、仲良しの顧客様と


「私もこれ買いました!」
「あなたが買ったなら私も着てみようかしら」


というやりとりをしている人もいました。


ただ逆を言えば、ファンでもないスタッフに
「私も持ってます」と言われても有効ではない、ということ。


初めてのお客様に駆け寄って


「私も持ってます」
「あなたのこと一目で好きになっちゃったから買うわ!」


なんてことはそうそうないでしょう。

 


②はどうでしょうか。


以前にこちらのマンガにも書きましたが、
実際の着用感想って、とても大事なんですよね。


神様の来店 - アパレル販売員・高山のブログ


肌触りは?温度の感じ方は?
着た時のシルエットは?


またお客様と背格好が同じくらいであれば、
丈は長くないかな?幅はどうかな?なんていう
お客様の不安も払拭されるでしょう。

 


とても熱心なファンになっていただいている顧客様でない限りは、
この②のパターンで接客をするのが効果的かと思います。


「私も持っているんですが、とても涼しいですよ」
「私も着ているんですが、長さがちょうどいいです」


さらに言えば、「涼しい」「短い」だけではなく、着ているからこその
お客様のイメージを喚起する言い方ができるとなお良いですよね。


「私も持っているんですが、涼しくて背中も汗ばみません」
「私は普段裾上げしないとパンツが履けないんですが、
こちらは買ったままの長さで履けました」


などでしょうか。


また、私は周りからの反応をお伝えすることもあります。


これも「友達に褒められちゃいました♥」だと
「だからなに?」となってしまいますが、


例えばご婚約の挨拶に行かれる方、
大切な面接やプレゼンに臨まれる方など、
周りからの見え方が気になる方には有効です。


「年上の家族からのウケが良かったです」
「周りの同僚から頼りがいありそうだね!と言われました」


などお伝えすると、お客様の理想の見られ方と
合うかどうかイメージしていただきやすくなります。


逆に言えば、こういった着用感想をお伝えする必要がなさそうな場面では、
無理に「私も持ってます」とお伝えする必要もないでしょう。


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◆超かっこいい「私も持ってます」の伝え方


さて、お待たせ致しました。
最後になりましたが、今日の記事のタイトルにもなっている
"超かっこいい「私も持ってます」の伝え方"です。

 


ある時、同僚が接客をしている声が耳に入って来ました。


お母様と、大学生くらいの娘様でしょうか。
どうやら入学式かなにか、大切な場面で着られる
スーツを選んでいるようでした。


その同僚は普段からとても接客が上手なのです。
この日も親子のお客様の心をがっちり掴んだらしく、
お二人共「この人なら信頼できる」という様子で同僚の話を
うんうんと頷きながら聞いていました。


色々な型のスーツを比較しているらしく、かなり長時間の接客に。
(気になってちらちら盗み聞きする私)


「うーんやっぱりAスーツにしようかしら。
んーでもBスーツも気になってきちゃった...
店員さんどう思います?」


そこで同僚はこう答えたのです。


「実は私も、AスーツもBスーツも持ってるんです。
見た目はほとんど変わらないのですが、
Aの方ばかり着てしまいます。
私は肩幅があまりないタイプなのでAの襟の形の方がすっきり見えますし、
インナーの形も選ばないんです」


私は驚いてしまいました。
というのは、同僚はもうAスーツについては
数分接客をしていたからです。


私だったら、Aスーツを手に取っていただいて早々に
「私も着ていて...」と口にしてしまうでしょう。


あえて最初には着用していることを言わず、
お客様が「この店員さん信頼できるな」とファンになりかけたところで
着用感想と一緒にお伝えする...


言うなれば先程ご紹介した
①パターンと②パターンの融合なのです。


結局お客様は
「たしかに私も肩幅狭いんだよね...
しかも店員さんとお揃いなら!」
とご納得された様子でAスーツを購入されて行きました。


本当にこの接客はかっこよかったです。
私も真似したい...。

 

 

(注・お客様や商品に関する情報には、

特定を防ぐためフェイクを入れています。)