アパレル販売員・高山のブログ

現役アパレル店員としての体験をマンガにしています。

「新しいものをお出ししますね」は言うべき?〜後編〜

 

昨日、お客様が商品をお決めになった時に


「新しいものをお出しします」


と言うべきか、という話をしました。


私自身は

 

いついかなる時でも新しいものをご用意する主義。
なぜならお客様がお待ちの間に店頭をさらに回遊できるから

 

と書きました。

 

「新しいものをお出ししますね」は言うべき?〜前編〜 - アパレル販売員・高山のブログ


今日はその後編です。


新しいものをご用意する際の注意点と、
お探しする時間なんてないよ!という問題について、
解説していきます。


◆店頭にある商品は本来全て「新しい」


さて、この「新しいもの」という言い方、
なにか変だと思いませんか?


だって、売り物の商品は全て「新しいもの」だから。


店頭に並んでいるものは中古品なの?
中古品も新品と同じ値段で売るの?


...違いますよね。
(明確に店頭品を「サンプル」「展示品」と銘打って
値下げするスタイルのお店はこの限りではありませんが)


こちらのスタンスとして、全ての商品は同じく「新品」でないといけません。


店頭に並んでいる商品とバックルームから出したばかりの商品は
同じクオリティでないといけないのです。


普段からのメンテナンスが大切ですね...。


そのような前提があるからこそ、私は「新しいもの」という言い方はしていません。


「在庫分があるか見てまいります」
「店頭に出していなかったものがあるか見てまいります」


さらに言えば在庫分がなかった時も「申し訳ございません」とは言いません。


「謝らないといけないようなものを売るつもり?」


と言われてしまっても仕方ないからです。


「こちらは在庫が1点のみだったのですが、
なにか気になるところはございませんか」


とお尋ねし、お客様の前で丁寧に検品しています。


◆なんで全員に用意しなきゃいけないの


ここまで、かなりしっかり読まれた方はこう思われたのでは?


「店頭品をお渡しすることが悪いことじゃないなら、
どうして「いついかなる時も」在庫分をお出しするの?
時間がない時はいいんじゃない?」


たしかにより多くのお客様のために、
時間の方が優先になる場面もあるかもしれません。


それでも私は必ず在庫分をお探しします。
ひとつは昨日から書いている通り、回遊していただくため。


もうひとつは、一部のお客様に、時間を理由に提案しないことは不公平だからです。


同じ商品を買う方がいた時、
平日の日中に来る方と、土日にいらっしゃる方で
接客の内容が変わるのはおかしいですよね。


平等に在庫分の提案ができない状態であれば、
むしろ「すいている時でもお客様から言われない限り
在庫分のご提案はしない」と決めてしまう方が
サービスが均質化されていいとすら思います。


同じ理由で、私はポイントカードのご案内や
イベントのフライヤーのご説明等も、
どんなにレジが並んでいる時でも同じようにしています。


◆新しいものをお探しする時間なんて、ない!


最後に...恐らくほとんどのお店での重大な問題。


「在庫分をお探しする時間なんてないよ!」


とてもよく分かります...。


特にフィッティングが何部屋もあったり、
レジも並んでいたり、
お客様が他にもお待ちだったり。


でも、探すしかないのです。


お客様に不安なお時間を過ごさせず、
かつ探しやすくするための工夫は2つあります。


①普段からストックを整理・把握しておく。


当たり前ではありますが、1番はストックの整理と把握、これに尽きます。


といっても、大規模なストック整理を
何度も行わなくてもいいのです。


たまに店頭で暇になった時、商品のストックを見ておく。
マネキンの着用品、特にインナーやシューズなどを確認しておく。
データ上の数と実在庫数とが合っているか確認する。
お客様がご試着室に入られている間に見ておく。
品出しの時など、くしゃくしゃのストックやごちゃまぜになった品番を整理する。


1日1品番でも良いのです。
これを毎日少しずつするだけでも違います。


ちなみに私は、自分がその日着用しているものに関しては
忙しくても必ずデータとの数の照らし合わせをすると決めています。


②かかる時間をお伝えする


「在庫分をお探しします」とお伝えすると同時に
「〇分ほどいただきます」とお知らせするようにしています。


「これはさっきストックで見たな、たくさんあったな」と思えば


「すぐにお持ちします」
「離れたストックからお持ちするので3分ほどいただきます」


などと正確にお伝えできますね。


もし「こんなのあったっけ...?」「データでも2点しかないよ...」と、
見つかるか不安な時は


「今データ上では上がっているのですが差異がある可能性もあります。
〇分ほどお待たせしてしまいそうですが
店内でお待ちいただけますか」


などとお断りします。
それでも待つ、という方にはゆっくり店内をご覧いただけば、
お互いにイライラしたり焦ったりせず、在庫を探すことができます。


またそうお伝えすれば「じゃあこの店頭分でもいいですよ」とか、
「後日取りに来てもいいですか」などと
言ってくださる方もいらっしゃいます。


所要時間を伝えることで、お客様にとって
1番良いお時間の過ごし方をしていただけます。


また他のお客様への対応についても、他のスタッフに
「この商品を探すのに〇分ほどかかりそうなので持ち場を離れます」
と伝えられれば、お互いにサポートしやすくなるでしょう。


◆まとめ


「新しいものをお出しします」というご提案について、
前編後編に分けて解説してきました。


私なりの工夫の方法をお伝えしましたが、
各お店のルールや状況があるので、
同じようにはできないという方も多いかと思います。


そんな方にとっても「うちとは違うな」というだけでなく、
サービスや商品のクオリティについて、
普段店頭でできることについて、など
考え方の面で参考になっていると嬉しく思います。


それでは次回の更新もお楽しみに〜!

 

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