アパレル販売員・高山のブログ

現役アパレル店員としての体験をマンガにしています。

「商品部は売れる商品を作れ」と言わない販売員でありたい

 

SNSで販売員の方の投稿を見ていると、
また実際にたくさんの販売員に囲まれて仕事をしていると、
こんな声を時々聞きます。


「商品部はもっと売れる商品を作ってよ」


これ、私は絶対言いたくない言葉です。


販売のアルバイトを始めた日から10年弱経ちますが、
口にしたことは愚か、思ったことすらありません。


だってこれを言ってしまったら、
販売員として終わりな気がしてしまうのです。

 


ちょっとユニークな商品、
おしゃれ上級者向けな商品、
もしかしたら少し季節外れな商品、


入荷された時に聞こえてくる
「うわ〜これ売れるかな」


不安になるその気持ちはよく分かります。


商品が入ってくれば、どんか客層向けだろう、
と考えなければ陳列もできないし、接客の準備もできません。
そして陳列や接客が難しい商品もあるでしょう。

 

ですがそんな時ほど、
「じゃあどうしたら、誰になら、売れるんだろう」
と脳をフルに使って考えて、商品の魅力を探したいのです。

 


私自身の経験で言えば「こんなの売れない」と思いながら
接客してもうまくはいきません。


もしかしたら「こんなの誰が買うんだろうね」と言って
棚の隅にこそっと置いておいても、
偶然見つけてくださって、
気に入ってくださるお客様はいらっしゃるかも知れません。


でもそれを「なんでこんなの買うんだろう」
と思いながらお会計するなんて、
失礼だし、非生産的だし、虚しくはありませんか?


私は、一目ではメリットが分かりづらい商品ほど


「絶対に売るぞ!必要な方に届けるぞ!」


と思っています。


メリットがうまく見つけられない商品でも
自信を持っておすすめできるように勉強したいし、
そのためにお客様から「なぜこの商品を手に取ったのか」を
ヒアリングしたいとも思っています。


人と物を繋ぐことが、販売員である私の仕事だからです。


そしてそうやって売ることが誇りなので、
「商品部が売れる商品を作らないから売れない」

とは思えないのです。


逆に考えてみてください。


置いておくだけでも勝手に売れる商品しか
並んでいない売り場なら嬉しいですか?

 

それなら販売員は要りませんね。


売れない原因を商品部に投げ打ってしまうということは、
同時に売れた時の功績も商品部に丸投げということに
なってしまいそうです。


これは立地や景気や気候がどうとか、
そういう問題でも同じだと思います。


売れない原因を完全に転嫁してしまうということは、
売れていたのも他の要因に助けられていただけ、
と認めているようではありませんか?

 


「いや、うちのブランドは販売員が超一流なのに商品に問題がある。
私はゆくゆくは商品部に異動して変えていきたい!」


という高い志をお持ちの方もいるかもしれません。


たしかに、今ある状況を安易に受容せず、
変えていこうとする姿勢も大切です。


ですが問題意識と当事者意識は、
決して相反するものではないでしょう。

 


さらに言えば、売れない商品を売る工夫ができない販売員さんは、
商品部に行っても歓迎されないのでは、と考えています。
ちょっといじわるな言い方ですが。


それはポジティブが大切、といった精神論ではなく。


「売れない理由」よりも「売れる理由」に目を向ける方が
得るものが多いからです。


「売れない理由」は仮説でしかない場合が多いように思います。
ECでも、かご落ちの理由が分からない...という声をよく聞きますが。


それに反して「売れる理由」は見えやすいのです。


接客時も「どうしてこれを買うんですか?」には
正直に答えてくださるお客様が多いですが、
「どうして買わないんですか?」に対しては
「なんか似合わなくて...」と言葉を濁す方が多いのです。


売れる商品の理由を分析してそのエッセンスを取り出す方が、
良い商品ができそうだと私は思っています。

 


...ふぅ。


なんだか長々と、少々意地の悪いことも書いてきてしまいました。


こんな偉そうに書いてしまっていいのかな、と思いつつ、
アパレルの社員の大多数を占める販売員が
業界への当事者意識を持って動けば大きな力になると
信じてやまないのです。


書いてきたことはあくまでも私の見解ですが、
これを読んでくださる皆様にとって
なにかを考えるためのきっかけとなれば良いなと
思っています...。

 

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