アパレル販売員・高山のブログ

現役アパレル店員としての体験をマンガにしています。

先輩が社割を使わない理由

 

私が以前働いていたセレクトショップでは社割の制度がありました。


売られているお洋服を割引価格で買えるのです。


自店にあるものだけでなく
同じ会社の別ブランドの商品も割引になるため、
スタッフは皆、商品研究のためにもよく利用していました。

 


ある先輩と休憩室で話していた時、
その先輩が自社の他ブランドのミニバッグを
持っていることに気が付きました。


「それって〇〇のバッグですよね!
〇〇ってうちの社内でもかなり高価格のブランドだし、
社割使っても相当高かったんじゃないですか?」

 

「これ、社割使わないで定価で買ったんだ」


ええっ!とつい休憩室中に響く大声を出してしまった私。


だって、定価で何万円もするバッグです。
社割を使うと何千円か?もしかしたら何万円?
かなり安くなるはずです。


「〇〇のスタッフで接客がすごく上手な人がいるって聞いて
接客受けて見たかったんだよね。
買わないで出ることも後日社割で買うこともできたかもしれないけど、
そのスタッフのトークを聞いてたらすぐ買う価値があると思えたし、
それに接客そのものにそれだけの価値があったと思うから...」


それを聞いて先輩の勉強熱心さと
そのスタッフの接客術の素晴らしさに感服しつつも、
接客のために定価で買ってしまう気持ち分かるな、とも思いました。


噂に聞く他店・他ブランドの凄腕販売員たちは、
どんな接客をしているんだろう。
同じブランドであれば私と同じ商品を売っているはず...
どんなトークで売っているんだろう。


素晴らしいトップセラーの方だと、
接客ロールプレイング大会の動画なども見られるのですが、
なんだかトントン拍子に進んでいき芝居じみた感じで、
やはりリアルな接客とは違います。


自社指折りの販売員の、
ファーストアプローチからお見送りまで、体験してみたい...
せめてそばで見ているだけでも...

 


勉強のために自店の販売員の接客を体験できるような制度があればな...と
社員割引をあとから請求できるとか
ミステリーショッパーを自社員同士で行うとか
色々考えたのですが、ちょっと難しそうです。


なぜなら私が以前いたそのセレクトショップでは、
また多くのアパレルのお店では、
販売員が接客する時間・労力・想いこそ1番価値の高いものですから...。


社員だからといって割り引くわけにもいかないんですね...。
接客に価値を見出し定価でバッグを買った先輩は
正しかったと思います。


あーあ、代わりにお給料上げてくれないかなー。

 


自社に限らず、お買い物をする経験って
自分自身の接客のためになりますよね。


私も他店で受ける接客からいつもたくさんのことを学んでいます。
アパレル接客に限らずとも、ECサイトを見ている時とか、

カフェや病院なんかでの体験からも学ぶことがあります。


お休みの日でも心のどこかに販売員の目を持っておいて、
楽しく勉強できる習慣がつくと良いな、と考えています。

 

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↑なにも考えずに生きているので

しばしばこういうことになる。