アパレル販売員・高山のブログ

現役アパレル店員としての体験をマンガにしています。

レジ袋有料化のこと

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レジ袋有料化の生活も、そろそろ当たり前になってきた感があります。


私はレジ袋有料化には賛成の立場です。
いちいち聞くのは非効率とか、感染症対策のためにどうなんだとか、
細かなオペレーションについては改善の余地がありそうですが、
不必要なものは削減していこうという大きな流れには賛成しています。

 


レジ袋有料化に賛成する理由のひとつに、
環境保全の観点とは別に、
これまでなんとなく「心遣い」で無料にしてきた
サービスの有料化を進めてほしい、という思いがあります。


私は以前、キャラクターショップに勤めていました。


(以前のブログをお読みの方なら覚えているかも。
おすすめ記事なのでぜひご覧ください〜)

 

完璧な布陣だったはずの接客パターンが幼稚園児に破られてしまったときのこと - アパレル販売員・高山のブログ


特にお土産屋さんではなかったのですが...
プレゼント用に買う方が多いからか、
無料の小分け袋を希望されることがしばしばありました。


もちろんプレゼントのラッピング用や、
かわいいから少しだけ余分に欲しいな、という方にお分けする程度であれば
こちらも歓迎なのですが、非常識な量を要求されることも。
「何も買ってないけど記念に袋だけください」
と言われた時には閉口しました。


無料の袋といったって、どうせ商品の料金に含まれてるんだろう、
というご意見はごもっともです。
しかしそれならば
「あなたはいくら分しか買ってないから何枚までしか渡せませんよ」
というシビアな線引きも分かってほしくなってしまいます。


病院って、かかった料金が全て点数化されて出てきますよね。
初診料とか、投薬とか...。
それに近い状態で、ビニール袋をお渡しして
場合によっては袋詰めするのにも、お金が必要なんだよ、と
分かってもらうためにも有料化は必要なことだと思います。
(販売員のサービスを全て点数化しろといった意味ではありません。
金にもならないことやりたかねぇよ、的な考えではないことは
以前からブログを読んでくださっている方には
分かっていただけるかと...)

 


さて、幸いなことに今勤めるアパレル店に来てからは、
袋をどっさりつけろ!みたいな理不尽な要求はありません。
それどころか、うちは紙袋だから無料にも関わらず
「エコなので」とお手持ちのバッグに入れてくださる方もいらっしゃいます。
こちらの心が洗われる思いです。


地球環境に優しいと謳う商品に関心を持ってくださる方も多いし、
クーポンや割引などのバックがなくても
古着回収に協力してくださる方もいらっしゃいます。


その度に本当に深く感謝しているのですが...
かたやバックルームではたくさんのゴミを出している現状に、
申し訳なさを感じます。


洋服1枚1枚を包むポリ袋、
形状を維持するため挟み込まれた紙...
もちろん必要なものではありますが、
お客様に対してエコアクションをお願いしている一方、
自分たちの根本的なエコでないのには、
まるで人を騙しているような歯がゆさを感じるのです。


エコとかヴィーガンとか、金持ちの道楽だろう、という意見もあります。
実際、本当に環境に良いことであれば
クールな道楽でも自己満足でも良いと思うのです。
むしろ苦痛を覚えてまで環境第一で生きることは無理です。
(ちなみに私は消費こそ生きがいだと感じるタイプかつ潔癖気味なので
古着だけで生きろとか、お肉をやめてコオロギだけ食べろとかは
絶対に絶対に嫌です...)


ただ、純粋に地球に良いことをしたい、と
お買い物の方法を選んでくださっているお客様に
「あなたはエコバッグ使って
オーガニックコットンの商品を買って
良い気持ちになってるかもしれないけど、
そこに至るまでの過程でめちゃめちゃゴミ出てるからね」
なんて、申し訳ないと思うのです。

 


環境保全の問題って本当に複雑です。
ビニール袋をやめてエコバッグにしようと言うけど、
エコバッグを洗濯する時の生活排水は...?
などと言い出したらキリがありません。


ただ「複雑」「キリがない」「アパレル業界だけの責任じゃない」からといって
考えることを放棄するのではなく、
だからこそ先陣を切ってアパレルから変わっていきたいと思っています。
綿も、革も、自然の恵みを誰より知っている
業界でありたいのです。

 


私自身にできることとして、
もっと服の生産される道筋を知りたいと思っています。
高校生の時に「砂糖の歴史」の本を読んで
ショックを受けたような経験、ありませんか?
同じような過ちは繰り返したくないのです。
そのためには今起こっていることをもっと知りたいし、
それを広めることで新しいアイディアを多方面から
拾いたいと思っています。

 


エコバッグ有料化が施行されたのと
コロナの流行が同時期になってしまったのは
皮肉というか、より深刻にこれからの在り方について考えさせられる
きっかけになったと感じています。
環境保全と相反して、徹底した清潔さが求められ、
今まで以上に消費を喚起しなければいけない経済状況。
ここで環境のことは後回しに今まで通りの力技で乗り切るのか、
新しい在り方を見つける方向に舵をとれるか。
いち販売員という立場ではありますが、
何かしらの転機にしたいと考えています。

 

(追記1)

マンガで表現しているゴミ袋の量は、

これまでに勤めた様々なお店などの状況から総合して、

象徴的に描いているものです。

(追記2)

社外秘になるため詳細には書けませんが、

私が現在勤める会社では、業務から発生するプラゴミの量を

減らす取り組みも行われています。